研究成果
研究成果「ナノマシンと集束超音波を組み合わせた音響力学的療法の開発」
平成21年(2009年)研究助成 村垣善浩
「バルク超電導磁石における強磁場を利用した薬剤到達システムの開発と治療応用検討」
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 先端工学外科学分野 教授 村垣善浩先生は、平成21年度の研究助成当時は磁気誘導による薬剤送達システムの研究を進めておられましたが、技術改良とともにその治療コンセプトを発展させ、薬剤送達システムと集束超音波による癌治療の臨床研究へ到達しました。 これは、平成29年3月29日付読売新聞夕刊にもその実施計画が取り上げられています。
この度、村垣先生よりカシオ科学振興財団に成果事例として、疾患動物の試験的治療とヒト臨床へのアプローチをご報告いただきましたので、新しい癌治療の開発事例としてご紹介いたします。
音響力学的療法(SDT)を説明する村垣先生
貴財団には、平成21年度(2009年)、第27回カシオ科学振興財団研究助成として100万円の援助を受けた東京女子医科大学先端生命医科学研究所先端工学外科学分野教授の村垣善浩です。 研究テーマは「バルク超伝導磁石による強磁場を利用した薬剤送達システムの開発と治療応用検討」でした。
当時は、本テーマである磁気誘導による薬剤送達システムは十分に検討されておらず、特にバルク体という新たな技術での高磁場誘導は世界に類を見ないものでした。 しかし、NEDOでの研究助成が1年で終了しており、超電導磁場測定の追加実験等の費用捻出が困難でした。 このとき良いタイミングで貴財団の助成に採択されたおかげで、切れ目なく基礎実験を継続でき、大変感謝しております。 その後、磁気誘導に関する論文を発表でき、その技術は広島大学越智光夫先生の臨床研究につながりました。 また、磁場に関する研究経験は、術中MRIを核としたインテリジェント手術室での1800症例の良好な治療結果を出すための基礎となりました。 更に、2017年に薬剤送達システムと集束超音波によるfirst in human(ヒトでの初めての臨床症例)を施行できたのも、磁気誘導研究を継続した結果と考えています。
貴財団の助成は、研究費が十分でないあるいは終了した研究者にとって非常に有益な援助となります。また使用用途も幅広い研究助成であり、今後も継続して新進気鋭の研究者をサポートいただけるようお願い申し上げます。
平成30年3月8日
村垣 善浩