イベント情報
第39回(令和3年度)研究助成金贈呈報告 2021年12月3日
本年度はコロナ禍により研究助成金贈呈式に替えて、Webを通じての贈呈報告といたしました。
ご挨拶を寄稿いただきました受領者の皆様と財団関係者に厚く御礼申し上げます。
■理事長挨拶 ■選考総評 ■祝辞 ■受領者代表挨拶 ■受領者一覧
理事長挨拶
公益財団法人カシオ科学振興財団の研究助成に採択されました助成金受領者の皆様、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。
本来ならば一同に会して贈呈式を挙行し、お祝いのご挨拶をさしあげるところですが、本年度も新型コロナの感染リスクを回避するために贈呈式を中止いたしました。新型株も発見され、まだまだ油断のできない状況が続きますが、来年度は是非とも贈呈式を開催できる社会情勢になっていることを願っています。
本年は1月以降、ほとんどの期間が緊急事態宣言下となり、大学の先生方におかれましては、自由な研究活動が制限され大変なご苦労が続いていたと思いますが、本年度の研究助成には87大学より188件の応募をいただきました。その中から、選考委員の先生方によって2度にわたる選考会議を経て、厳正な審査を行っていただきました結果、最終的に61件の候補を選出、その後、理事会において候補案が承認され最終決定いたしました。募集する研究分野につきましては、過去数年間で「AI」、「IoT」、「ヒューマンパフォーマンス」、「ICT教育」など、新たな分野を盛り込みながら拡大を図ってまいりました。また、本年度の特別テーマは今年で5年目になりますが、「地球環境を課題とする問題解決に向けた研究」として設定いたしました。本年度はこのようなテーマ設定で、コロナ禍により研究活動が制約されるなか1件でも多くの研究助成で研究者の皆様を支援したいと考え、地球環境課題に関する特別テーマ2件に加え、基本テーマ59件を決定し、本年度の助成件数および助成金額は過去最高のものとなりました。その結果、当財団の研究助成は現在までの累計で1,533件、助成総額は20億円を突破いたしました。これは今までの積み重ねの結果ではございますが、今回一つの節目に到達したと感じております。
特別テーマで設定いたしました地球環境課題について目を向けますと、本年11月英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、石炭を段階的に削減するという史上初の国際合意と、地球温暖化を1.5度に抑えるためのロードマップを確認するという画期的な成果で閉幕しました。この動きをみても、この分野の基礎研究やアプリケーション開発が人類共通の課題としてますます強く受け止められていることを示すものと思います。当財団といたしましても、さらに全地球課題に対する問題意識を高め、社会の持続性を維持するための研究を支援するため、来年度は「SDGsの課題解決のための研究」を特別テーマに設定する予定です。これは当財団の支援する研究分野から積極的に全地球課題にアプローチをして欲しいというメッセージでもあります。
さて、当財団はカシオ計算機の創業者であります樫尾茂氏とその子息である四人の兄弟によって1982年(昭和57年)12月に設立されました。樫尾四兄弟といえば、次々と生み出される次男俊雄の独創的なアイディアを、機械設計、旋盤加工などで一流の技術を持つ長男の忠雄が実現し、三男和雄の卓越した営業力と四男幸雄の細心な生産管理能力によって、それぞれの専門分野を生かしたチームワークで創業・発展を成し遂げたわけですが、その長兄である樫尾忠雄が若い時に受けた恩が当財団設立の思いに繋がっていることをお話したいと思います。カシオ計算機創業の26年前である1931年(昭和6年)、当時16才の忠雄は尋常高等小学校(現在の中学校)を卒業し治工具を製造する榎本製作所に就職しました。忠雄の勤勉な働きぶりと優秀さを見込んだ工場主の榎本博史さんが「これからの職人はウデだけではダメだ。学校に通いなさい。」と言って下さり、夜学に行く時間は残業ということで会社が負担するから学費に充てなさいと、忠雄の親まで説得してくれました。忠雄は町工場での勤務の後、疲れた身体にムチ打ちながらも、その恩に報いるべく勉強にも励み、優秀な成績で早稲田工手学校を卒業したそうです。(出典:兄弟がいて 日本経済新聞社)
悲しいことに榎本博史さんは昭和11年に出征して1年半後に帰らぬ人となり、忠雄が恩返しをすることは叶いませんでしたが、忠雄は「いつか自分もなにがしか力がつくことがあれば、その時は同じように人助けをしてみたい。」と誓ったそうです。その後1957年(昭和32年)四兄弟はカシオ計算機を創業し、最初のヒット商品リレー式計算機を世に送り出していくわけですが、この中で、忠雄が単なる優秀な職人に止まらず、しっかりした学問を身につけたことがカシオ計算機の事業発展に不可欠であったことはいうまでもありません。
さらに四兄弟はリレー式計算機の事業化において、独創性のある発明でありながらも実績がなかったため資金繰りに大変苦労し、支援者に助けられたという経験も複数ありました。こういったカシオ計算機創業当時の苦労や経験を回顧するたびに、日本の科学技術の振興に寄与することで広く世の中に貢献したいという思いが大きくなり、カシオ科学振興財団の設立に至っているわけです。当財団の「若手研究者の萌芽段階にある先駆的・独創的研究を重点的に助成する」という趣意は、当時若かった樫尾四兄弟がリレー式計算機の事業化に至る数々の受けた恩に報いる気持ちが反映されているものです。
ところで、今年の大きな明るい話題として本年のノーベル物理学賞をプリンストン大学の真鍋先生が地球温暖化に関する研究で受賞されました。この動きも環境問題が人類共通の喫緊の課題となる事を示すものですが、真鍋先生が気候変動の研究に本格的に取り組んだのは1960年代からで「研究を始めたときは、気候変動の研究の重要性については思ってもいなかった。」と述べられており、萌芽段階の研究は結実に時間を要するものであることの証左であると思います。さらに真鍋先生は、「私の研究の原動力のすべては好奇心だった。」「ただ心から楽しんでいた。」とも振り返り「最も興味深い研究とは、社会にとって重要だからといって行う研究ではなく、好奇心に突き動かされて行う研究だと思います。」とおっしゃっています。
当財団の特別テーマとしても、全地球課題へのアプローチを支援していくことは先ほど申し上げましたが、どうぞ研究者の皆様は「これを探求したい。これを知るのが楽しい。」を根本かつ最大の動機付けにしつつ「社会への貢献」を常に意識して研究に取り組んでいただければと思います。特に萌芽段階にある研究は、社会に役立つ即効性・現実性が明白ではありませんが、当財団はそのような研究についても、斬新なテーマ設定であれば積極的に支援していきたいと考えています。
最後になりますが、日頃より当財団の運営にご指導をいただいております評議員並びに理事の役員の皆様、本年度も数多くの応募案件をご評価いただき、多大なご尽力を頂きました選考委員の先生方、そして、当財団の趣旨にご賛同いただいております協賛各社の皆様に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。当財団はこれからも研究助成活動を通じて社会の発展に寄与すべく努めて参る所存でございますので、今後とも引き続きご支援ご協力のほど宜しくお願い申し上げます。
助成金受領者の皆様、本日は誠におめでとうございました。
■理事長挨拶 ■選考総評 ■祝辞 ■受領者代表挨拶 ■受領者一覧
選考総評
研究助成金受領の皆様、まことにおめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。
今年は昨年に引き続きコロナ禍の拡大・深刻化により、大学研究機関においては対面による実験・調査等もままならず、大学間共同研究や国際学会発表等を含めた研究活動の展望もよく見えない中での申請書の作成・応募は、実に難儀なことであったと思います。
実際に今回の応募総数は188件、コロナ禍による激震で大きく揺れた昨年の192件に比してさらに減少し、過去13年間で最も少ない申請件数となっていることからも大変な状況が伝わってきます。また、中堅の40代研究者からの応募が4年連続で大きく減少していることも気がかりです。
しかし、そのような状況下であっても応募校数は昨年の77校から87校へと大きく増加し、とくに1~2件を応募する大学からの応募件数は昨年の54大学 76件から今年は 63大学 85件と増加し、いわゆる研究大学だけではなく、応募する大学研究機関のすそ野も広がりました。このことは「引き続くコロナ禍によって研究に苦労されている研究者も多いなかで、一人でも多くの研究者を助成することに主眼を置き、『若手研究者による萌芽的な段階にある先駆的かつ独創的研究』を重点」とするという本財団の研究助成の趣旨とも合致しており、とても喜ばしいことです。
なお、選考総評の執筆時現在(2021年11月末)、新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染が各国に広がっているのを受けて、日本政府は11月30日から世界の全ての国・地域を対象に外国人の新規入国を原則停止しました。こうしたコロナ禍の動向の中で、今後の研究活動はより一層見通しの持てない状況にありますが、本財団の研究助成においては、研究目的達成のためであれば研究代表者の判断による研究計画の変更が認められています。それゆえに研究助成金受領の皆様におかれましては、コロナ禍の動向をふまえ臨機応変に研究実施方法等を修正して、当初の研究目標の達成に向けてのご尽力をお願いいたします。
さて、応募された研究助成申請の選考に係る予備会議・本会議は、今年度も昨年に引き続きオンラインとなりました。しかし、財団事務局による周到なご準備もあり、例年と同様あるいはそれ以上に深く議論ができて公正な選考ができたと考えております。
今年度の特別テーマは昨年、一昨年に引き続き、人類が直面している地球温暖化、資源の枯渇、環境汚染等の問題に対する「地球環境を課題とする問題解決に向けた研究」であり、電気・機械工学系、医学・生理学系および人文科学系での募集となりました。医学・生理学系からの応募がなく、応募数は昨年の20件 から15件へと減少し、近年では最も少ない数となりました。
しかし、これまでしばしば見られた、応募研究がどのように地球環境問題の解決に結びつくのかが明示的でないものはほぼ皆無となり、研究内容・計画ともにしっかり書かれており、採択候補の選考に悩むほどでした。SDGs(持続可能な開発目標)の策定とも相まって、逼迫する地球環境問題の解決に向けた 明確な方向性が求められておりますので、特別テーマ採択の皆様の地球環境問題解決に資する研究推進を切に願っております。
基本テーマは、昨年に引き続いて今年度も助成金額上限100万円の基本テーマ1と300万円の基本テーマ2の2コース制にて実施しました。その結果、応募数は電気・機械工学系85件から 97件へと12件増加、医学・生理学系56件から44件へと12件減少、人文科学系31件から32件へとほぼ昨年並みという結果になりました。
基本テーマについては例年、研究申請書の水準格差が大きいのが現状です。具体的には、申請書において求められているいくつかの必要項目についてほとんどふれていない、研究計画が日程と研究項目の羅列となっている、資金の使途とその必要性の説明が十分でない等の申請がしばしば見られます。
さて、本財団の研究助成の特長・意義について少し言及させていただきます。
私自身の専門は「教育学・特別ニーズ教育・特別支援教育」であり「人文科学系(人材育成、人間行動、ICT教育)」の審査を担当しています。実は22年前、まだ駆け出しで研究資金も乏しい時期に、本財団より「『子どもと学校の危機』に対応する教員養成の課題と将来展望―「特別なニーズ教育」スタッフ養成に関する日本・スウェーデンの比較調査研究―」のテーマに対して研究助成をしていただきました。そのおかげでスウェーデンから研究者を招聘することができ、それが文科省の海外研究開発動向調査派遣(スウェーデン)へと繋がり、それから20年以上が経過して、現在では北欧5か国にいくつもの研究拠点を築きながら特別ニーズ教育に係わる国際共同研究を行うことができています。
昨年の選考総評において、選考委員の伊藤彰義先生(日本大学名誉教授・理工学部理工学研究所上席研究員)が「本財団の選考委員の依頼を受けたときに本財団の選考趣旨である『特に若手研究者による萌芽的な段階にある先駆的・独創的研究を重点に選定』に賛同し引き受けさせていただき、現在に至る迄全ての選考委員の皆様の思いと同じく『若手』に留意し選考することを貫いています」と書かれております。「まさに同感」であり、本財団の研究助成の意義を見事に言い当てておられます。
さらに、一昨年の選考総評において選考委員の荒木光彦先生(京都大学名誉教授・松江工業高等専門学校名誉教授)が、本財団の研究助成分野に「人文科学系(人材育成、人間行動、ICT教育)」があることの意義を次のように述べておられます。
「人材育成というのは日本の将来にとって一番基本になることと思います。私自身は『高等教育教授システム研究開発推進センタ』というところの長を数年努めていたことがあります。そこでは、大学での人材育成という事を研究開発しているわけですが、これがなかなか難しいという認識を持つに至りました」「人材育成に関してはその最初の一歩がなかなか定まらない」ゆえに「採択となった方々には日本の将来を担うつもりで頑張って頂きたいとおもいます」と。
人文社会科学系に係る研究に対して根拠のない誹謗中傷も時々みられますが、システム工学・制御工学分野において日本を代表する大家の荒木光彦先生が、人文科学系や人材育成に係る研究を「日本の将来にとって一番基本になること」と指摘されるご見識が、本財団の研究助成を支える基盤的特長でもあります。「人文科学系(人材育成、人間行動、ICT教育)」へのさらなる応募に期待しております。
最後となりましたが、今回は第39回研究助成金贈呈ということであり、1982年の財団設立以来の研究助成累計は1,533件、累計助成金額は20億円を超えるとのことです。39年という長期間にわたり、日本の研究者を支え続けていただいたことへの感謝と本財団の益々のご発展を心より願っています。そして研究助成金受領者の皆様、誠におめでとうございました。
■理事長挨拶 ■選考総評 ■祝辞 ■受領者代表挨拶 ■受領者一覧
祝辞
研究が高く評価され、助成金を受領された皆様、おめでとうございます。
活発な研究活動を推し進められている皆さん、コロナ・パンデミックが周期的に繰り返されるなかで、日々の研究活動に大きな変革を余儀なくされるこの時期に受領されたことは、皆さんの今後の人生において長く記憶に残ることでしょう。
私の専門は「低温プラズマとその素過程」です。プラズマが一つの鍵となる分野で、およそ関連の薄い研究対象がほぼ二十年間隔で出現してきました。新たな研究に向けた研究費の初期投資 → 研究者の増加 → 競争的資金の増加 → 若手研究者の育成へとつながり、科学技術の爆発的な発展に結びついてきました。そこでは、地味な基礎研究を続けてきた一握りの研究者の下に、多様なスキルを持った研究者が集い、研究のバックボーンが描かれロードマップが定まりブームが起きました。人種を超えて、国境を超えて、分野を超えて、世代を超えて集まった研究者は自らが育った環境の影響を陰に陽に生かしながらスキルを磨き、第一人者へと成長してゆきました。その研究対象は二十年〜三十年後、一見すっかり掃除の行き届いた知識情報をつくりだし、その科学技術が常識化され文化の発展に貢献してゆきました。私共が日々生活している社会でも、押しなべて社会が一つの時代の役割を果たすと、その次には全く違った型のものが必要とされ、発展され整備されてゆくように思います。
受領者の皆さんが上記いずれかのフェーズに軸足を置いて提案された研究計画がカシオ科学振興財団に評価され採択されたわけです。改めてお祝いいたします。私もむかし当財団から助成を頂き研究に弾みがついたことを嬉しく、また、懐かしく思い出しています。当時、この助成がその後の人生でどのような位置づけとなるかなど、考える余裕がなかったこと、今から考えると残念なことの一つです。
研究者はグローバル社会の一員です。「この研究助成がみなさんの人生で、また、将来の社会で、どのように位置づけられるか」などを頭の片隅に置きながら研究を続けることで、皆さんの活動をさらに有意義に、かつ人生を豊かにする機会ともなるでしょう。私は現役のとき、お友達作戦を提唱し海外連携を推進してきました。これを機に皆さんの活動が国内に加えて海外での比重を増し、研究を通した連携の輪がさらに広がることにつながれば、私にとって二重の喜びです。
終わりにあたり、受領者の皆様と、カシオ科学振興財団のますますのご発展を祈念しております。
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受領者代表挨拶
◆特別テーマ
研究テーマ:CO2電気化学還元に選択的に駆動する電極触媒開発と作動機構解明
この度は歴史ある公益財団法人カシオ科学振興財団の第39回(令和3年度)研究助成を賜り、誠に光栄に存じます。昨年にひきつづき本年度の特別テーマであります「地球環境を課題とする問題解決に向けた研究」を担う一員として研究が続けられることは、このうえない喜びです。採択くださいました財団関係者の皆様、選考委員の諸先生方に深く御礼申し上げます。残念ながら、昨年にひきつづき今年も新型コロナウイルス感染症の影響で贈呈式は中止となり、皆様に直にお会いして採択テーマをご説明することは叶いませんが、贈呈結果報告という形で研究をご紹介する機会を与えていただきました関係各位の皆様のご高配、ご尽力に感謝申し上げます。
私はこれまで一貫して「触媒」の研究に取り組んでまいりました。「触媒」は実際の化学反応式には表れないにもかかわらず、化学反応の速度や選択性を自在に変えることができる化学反応の「黒子」として働きます。すなわち、多量かつ高速に製品を作る必要がある現代の化学工業には欠かすことのできない物質です。今回採択いただきました研究テーマでは、電気化学反応の触媒である電極触媒の開発を行います。ターゲットは、温室効果ガスとして知られている二酸化炭素(CO2)です。「触媒」の力を最大限に活用し、「電気」の力を借りて、CO2を人類に必要な物質に変換することを目指します。本研究で取り組むCO2電気化学還元はまさに「地球環境を課題とする問題解決に向けた研究」であると自負しております。
原始、人類は火を得ることによって進化し、燃焼を制御して文明を築くことに成功しました。それと同時に、あらゆるものが燃焼される際に発生するCO2に苦しめられる歴史をたどっているとも言えるでしょう。特に温室効果ガスによる地球温暖化およびそれに伴う気候変動に関しては、多くの人々がこの現状を憂慮し、それらの対策および解決策への関心度が高まるばかりです。我が国においても、今までとは異なるレベルの酷暑や厳冬が度々おとずれ、自然災害も増加の一途をたどっております。この状況下で、永く地球上で暮らし、発展し続けるためには、燃焼によりCO2が発生する化石資源(石炭・石油・天然ガス)に頼らない持続可能なエネルギー・資源循環型社会をつくっていくことが、我々の至上命題と言えます。現在、風力や太陽光などの再生可能エネルギーから電気をつくる風力発電・太陽光発電が注目されています。しかしながらそれらを運用するためには大規模な設備の建設が不可欠であり、皮肉にもその過程でCO2の大量排出は避けてとおることはできません。CO2を原料としてエネルギー・資源を作り出す技術開発は、今後さらに注目が集まる研究テーマの一つになり得ると考えます。
今回採択していただいた研究テーマであるCO2電気化学還元は、CO2を原料として我々が必要とする基礎化学品を合成できるため、2050年代にカーボンニュートラルを達成するために重要な要素技術の一つとして近年注目を浴びています。1990年代に千葉大学の堀善夫先生が一連の金属電極についてCO2電気化学還元を検討されており、金属の種類によって生成物が4つのパターン(水素、一酸化炭素、ギ酸、メタンなどの炭化水素)に分類できることを報告されています。つまり、CO2電気化学還元はうまく電極触媒設計をすれば、CO2を原料としながら必要なエネルギーや資源を選択的に得られる可能性が高いことを示しています。我々は2度の石油ショック(第一次:1973年、第二次:1979年)を経て、資源に乏しい我が国が、継続して発展し続けるには技術革新が唯一無二であることはご承知の通りです。約30年前にすでにCO2電気化学還元を我が国発の技術として報告していることは驚く限りです。
残念ながら20世紀後半から最近までCO2電気化学還元はほとんど注目されることはありませんでした。時として、基礎研究にはこのようなことが起こります。堀先生の研究成果を再認識したのは欧米の研究者でした。ナノテクノロジーの発展によって様々な電極触媒をデザインし、合成できるようになったため、研究の幅が広がりました。研究例が増えてくると過去の結果とは異なった結果も報告されるようになりました。これは電極触媒設計において我々がまだ知り得ていないポイントがあることを示しています。現に、私が堀先生に直接お尋ねしたところ、他の研究室では再現性が取れない例もあったそうです。当時は不思議だなと思われていただけなのかもしれませんが、今日の我々にはCO2電気化学還元の電極触媒開発にはまだまだ可能性があり、実は我々がまだ知りえない鉱脈が隠されているのではないかと推測できます。私がCO2電気化学還元の高いポテンシャルに期待するのはこの部分です。
私自身はあくまでも触媒化学の専門家で電気化学を語るのはおこがましいと考えておりますが、触媒化学者の観点から電気化学を俯瞰して、電極表面における活性サイトの存在の有無を議論したいと考えています。このような活性サイトがCO2電気化学還元における活性・選択性を左右しており、これを捉えることが新規電極触媒設計への近道だと信じています。本研究では、我が国において2030年代での本格的な検討及び2050年代の社会実装を目指し、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用して発電した電気によってCO2を有用な物質へと高効率に変換可能な金属電極触媒を見出し、CO2電気化学還元の研究基盤を構築します。
水溶液中に溶解したCO2を電気化学還元する場合、最も問題となるのはこの反応がプロトンの還元によるH2生成と競争することです。CO2の還元にもプロトンの関与は必須であるため、この競争反応を制御することは非常に難しいとされています。我々はこれまでの研究から金属ナノ粒子のある特定の面が特異的にCO2の活性化に有効であることを見いだしました。本研究では、特異面を持つ金属ナノ粒子電極触媒の合成および特性評価を行い、この電極を用いたCO2電気化学還元における活性及び生成物の選択性を検討することによって、活性サイトの構造を明らかにし、その活性サイトが関わるCO2電気化学反応の反応機構を提案します。最終的には、単一の活性サイトの高密度化によって、高い電流密度を示し、単一の生成物を与える精密にデザインされた金属電極触媒を開発したいと考えています。
このように私は触媒化学の視点から電気化学反応を解釈することによって、CO2からエネルギーや資源を生み出す持続可能な社会の実現に大きく寄与する新たな提案ができると確信しております。いつの時代も新しい提案は2つ以上の既存分野が交わりせめぎ合う学際領域で生まれます。本テーマにはまだまだ課題は山積みではありますが、公益財団法人カシオ科学振興財団ならびに選考委員の諸先生方のご期待にお応えできますよう、研究に邁進いたしますことをお約束させていただき、私のご挨拶に代えさせていただきます。
◆基本テーマ2
研究テーマ:超音波と液晶を用いたフィルム型多機能レンズ
この度は貴財団第39回研究助成に採択頂き誠にありがとうございます。新型コロナウイルス感染拡大防止のため贈呈式が中止となり、皆様にお目にかかれず、本助成を直接頂戴できないことを大変残念に思っておりますが、この様に受賞者としてご挨拶させて頂く機会を与えて頂きましたことにつきまして大変光栄に存じます。この場をお借りして僭越ではございますが、御礼のご挨拶と今回採択頂きました自身の研究テーマにつきまして簡単にご紹介させて頂きます。
申し上げるまでもございませんが、我々研究者、特に実験をメインに研究を行う研究者にとって、研究設備、実験装置、実験材料は研究を推進するにあたって重要であり、これらを準備・確保するための研究予算は新たな研究をスタートもしくは継続する上で最も重要な要素の一つです。また一方で、大学に勤務する教員の立場としては、十分な研究予算を元に研究計画を立てた上で学生を教育することが一つの職務であると考えています。その結果として、この度助成頂きました貴重な研究費によって、申請書に記載しました内容以上の研究成果を得ることができ、人的教育に加え、学術・産業・経済的にも社会に還元できれば、一エンジニア、一教員として本望です。
さて、この度私は「超音波と液晶を用いたフィルム型多機能レンズ」という研究テーマで研究助成を頂戴しました。ご存じの様に「超音波」も「液晶」も研究対象としての歴史は古く、100年以上前には既にこれらに関する研究論文が報告されています。「液晶」については普段我々の日常生活においても耳にすることが多く、液晶ディスプレイで知られる様に、現在でも様々な電子デバイスや産業分野において活用されている光学材料です。一般的な液晶材料は複屈折性、すなわち液晶分子の向きによって光の進む速度が異なる特性を持ちます。液晶ディスプレイの様な現在実用化されている一般的な液晶を用いた電子デバイスでは、この複屈折性を利用し、厚さ数マイクロメートル程度の液晶層に対し外部から電界を加えることによって液晶の分子の向き(分子配向)を変化し、液晶層の透過光をコントロールできることから、デバイスの小型・薄型化には適しています。しかしながら、液晶層に電界を加えるためには導電性の透明電極が必要となります。この液晶デバイスに用いる透明電極の材料としては現在主に、その光透過率と電気抵抗を考慮してITO(酸化インジウムスズ)が用いられていますが、レアメタルであるインジウムを含むことから、将来的な安定供給を考え、その代替材料の開発が急務とされています。2016年より世界各国で推進されているSDGs(持続可能な開発目標)では、主に資源の希少性よりもむしろ地球環境負荷に焦点を当てた継続的な開発が求められていますが、今後の資源枯渇を想定したものづくりはエンジニアとして常に検討すべき課題と言えます。
一方で「超音波」はご存じの様に、一般的には「人間の耳で聴くことができない周波数20 kHz以上の音波」を指し、健康診断などでお世話になるエコー診断や魚群探知機(ソナー)などの通信・診断応用や、眼鏡屋などで目にする超音波洗浄器や一眼レフカメラで用いられる超音波モータなどのエネルギー・動力的応用、スマートフォンに搭載される周波数フィルタ(SAWフィルタ)に代表される電子デバイスなど、現在の私たちの生活の周りの様々なところで用いられています。この度採択頂きました当研究テーマでは、超音波を用いることによって液晶の分子配向をコントロールし、これを光デバイスや光計測技術へ応用することを目的としています。そもそも正圧と負圧を周期的に繰り返す調和的な(すなわち単一周波数から成る)音波では、時間平均するとその圧力の平均値はプラスマイナスが相殺されてゼロとなる様に思われますが、実際は音波の非線形効果によって少なからず直流成分(静圧成分)が発生し、音の放射力として作用します。例えば空中に放射された超音波ビームの前に物体を置くと、その物体表面に超音波の放射力が作用し、超音波によって物体を非接触で動かしたり、浮かせたりすることが可能です。この現象にヒントを得て、これまで我々の研究グループでは、従来の液晶デバイスで用いられてきた透明電極を用いることなく、超音波の放射力によって液晶の分子配向をコントロールする技術について研究を行って参りました。そこで本研究テーマでは特に、この技術を用いて焦点距離をコントロール可能な光学レンズへの応用を検討する予定です。本技術の大きなメリットの一つとして、デバイスの小型・薄型化が挙げられます。例えば、現在のスマートフォンでは最厚部がカメラ部分である機種が多いですが、この一つの理由として、ピント調整の際にレンズを光軸方向(画面奥行き方向)に移動させるための機械的可動部・アクチュエータが必要であることが挙げられます。超音波の放射力によって液晶の分子配向、すなわち光学的屈折率を空間的に高速に変化できる本技術を用いれば、レンズの位置を動かすことなくピント調整可能なフィルム型の薄型レンズを作製することが可能となります。また、レンズのみに留まらず、光スキャナなど現在機械的可動部によって構成される光デバイスの置換技術として、今後様々な産業分野への応用展開が期待できると考えています。
私事ではございますが、大変有り難いことに貴財団より御助成頂けるのはこの度が二度目となります。前回はちょうど10年前の2011年で、チームリーダとして自身の研究室の立ち上げのタイミングであり、環境も変わり、新しい学生を迎えるという状態であったことから大変有り難い限りであったと記憶しております。この度は前回とは分野も目的も全く異なる研究テーマであり、さらに「基本テーマ2」での採択という意味では、一エンジニアとしての成長を実感するとともに、ご評価頂きましたことを大変感謝しております。また今回はこの様な液晶を用いた研究テーマで、歴史的に液晶材料と関係が深い貴財団より研究助成を賜るのも、甚だ恐縮ではございますが何かのご縁かと感じております。末筆になりましたが、この度の御助成およびこの様な機会を与えて頂きました貴財団関係者の皆様、並びにご審査頂きました選考委員の先生方には厚く御礼申し上げます。
◆基本テーマ1
研究テーマ:ビジョン介入を用いた英語学習に対する動機づけ向上に関する量的・質的検証
この度は、このような大変栄誉ある研究助成を賜り、誠に身に余る光栄であります。樫尾理事長、財団の皆様、そして選考委員の先生方に厚く御礼を申し上げます。誠に僭越ではありますが、基本テーマ1に採択された52件の研究プロジェクトの助成受領者を代表し、この場をお借りして受賞のご挨拶ならびに採択課題についての概要のご紹介をさせていただきます。
この度採択いただいた研究課題「ビジョン介入を用いた英語学習に対する動機づけ向上に関する量的・質的検証」は、外国語学習における心理的要因のひとつである「動機づけ」に影響を与える要因について検討するものです。外国語学習に関する研究は、その研究によって得られた知見が学校における英語教育に対して示唆を与えるものであり、国際化する社会の中で活躍する人材の育成に大きく貢献することのできる可能性のある分野であるという認識のもと、研究に取り組んでいます。
外国語学習に関する研究と特に密接な関わりのある、学校における英語教育については、この数年間で非常に大きな変化がありました。その中でも特に、小中学校では学習指導要領の改訂と実施という変革を迎え、小学校においては、2020年度より外国語活動の授業の開始学年が3学年へ引き下げとなり、5・6年生では新たに外国語科として英語が正式な授業科目として導入されました。また、2021年度からは中学校の改訂版学習指導要領により、英語を用いたコミュニケーションによる「言語活動」を通して英語を学ぶことがこれまで以上に重要視されており、学習者自身が英語を使用して自らの考えを伝え、コミュニケーションを行うことが今後の学校における英語学習の中心となります。また、それと同時に、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) が日本各地で拡大したことを受け、多くの学校では児童・生徒の登校を取りやめてのオンライン授業の実施を余儀なくされるなど、学校における学びのあり方も大きく変化しました。このように大きな変化が生まれた中での「学び」との向き合い方を考える必要のあるこの状況において、本研究課題は日本人英語学習者の動機づけについて新たな視点からアプローチします。
本研究の大きなテーマである外国語学習における動機づけに関する研究は、これまでにも社会の変化や人々の行動の変容などと共に、発展を遂げてきました。歴史的な背景を概観すると、初期の研究は1950年代のカナダにおいて社会心理学者らによって行われた、目標言語を話す集団に対する態度や、その目標言語が話されるコミュニティに対して近づいていきたいという欲求と、外国語学習への動機づけとの関連性を検討するというアプローチから始まりました。その後、外国語学習の価値や目的などといった、心理学の分野における様々な理論を取り入れながら発展し、より教育的な視点を取り入れた研究も多く行われるようになります。2000年代に入り、グローバル化した社会において学習対象とされる目標言語(特に英語)を話す人口が世界中で増加し、初期の研究で用いられていた概念である、目標言語を話すコミュニティについて捉え直すことの必要性が議論されるようになり、外国語学習者自身が将来目標言語を用いてコミュニケーションをしている自己像と動機づけには強い関連性があることが示されました。この学習者がイメージする「将来の自己像」こそが本研究課題において扱う概念である「ビジョン」の考え方です。この理論に基づくと、学習者が将来の自己像と現在の自己像との間に存在するギャップを縮めるために学習に取り組み、そのために動機づけが高まるため、学習者が明確かつ実現可能性のある将来の自己像を形成することが外国語学習に対する動機づけにつながると考えられます。
将来の自己像が外国語学習への動機づけに対して持つ影響力については、これまでに世界各地で行われた研究や私自身の研究においても明らかにされてきました。例えば、スウェーデンにおいて行われた研究では、英語学習者の現在の自己像と将来の自己像の間にあるギャップが英語学習に対する態度を予測していることが示されました。また、本研究課題が研究のデザインのモデルとするチリ人英語学習者を対象として行われた介入研究では、実際の英語の授業の中においてビジョンを明確化する指導を英語学習者に対して行うことにより、授業に対するより積極的な参加がみられたことを報告しています。これらの成果を踏まえ、本研究課題では、学習者が学校の授業外や日常生活の場面で実際に英語を用いる機会が乏しいと考えられる日本の英語教育の環境において前述の視点を取り入れ、効果的に英語学習者の動機づけを高めるための指導としてビジョンの明確化がどのような効果を持つのか、という点について明らかにすることを目指しています。この問いに対して、研究では指導前後での動機づけの強さや英語学習に対する態度の変化についての量的比較を行うとともに、介入を伴う学習期間の中で、学習者による英語学習についての捉えがどのように変化し、それがどのように動機づけの向上と関連しているかについての質的分析を行うことによって、多角的にビジョンの持つ役割を検討します。これらの調査と分析を通して、日本人英語学習者の動機づけについての新たな知見を得るとともに、英語教育に対する示唆を与えたいと考えます。
外国語学習の動機づけに関する理論は、学習者が置かれた環境による違いをはじめ、未だに明らかにされていない点が多くあり、本研究課題が基盤とする理論についても、世界各国で多くの研究者が様々な研究を通して発展に取り組んでいるものであります。その中で、本研究課題によって得ることができると考えられる成果は、多くの英語学習者や学校における英語教育の発展のために役立つものであると信じ、プロジェクトに邁進する所存です。
最後に、現在の大学を取り巻く状況は厳しく、特に若手研究者が研究の基盤を築き、さらにその研究を発展させながら継続するためには、外部資金を獲得し続けることが求められています。このような状況に置かれた中、カシオ科学振興財団様の研究助成は若手研究者による、萌芽的な段階にある先駆的かつ独創的研究を助成することを主眼としていることを知りました。そのような趣旨があることにも後押しされ、独創的な研究に挑戦する気持ちで応募した研究課題を、今回このようにして採択いただきました。本研究課題に対して研究助成を通してご援助をいただくにあたり、審査・採択に携わられたすべての関係者の皆様に感謝を申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
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受領者一覧
61件の研究テーマと代表研究者を紹介いたします。代表研究者の所属大学と職位は研究助成応募時点のものです。
◆特別テーマ:2名
研究テーマ | 代表研究者 | 研究概要 |
人工光合成を加速する固-固界面制御分子素子の開発 | 北海道大学 大学院理学研究院 准教授 小林 厚志 |
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CO2電気化学還元に選択的に駆動する電極触媒開発と作動機構解明 | 京都大学 大学院工学研究科 准教授 寺村 謙太郎 |
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◆基本テーマ2:7名
研究テーマ | 代表研究者 | 研究概要 |
局所配位構造・結合状態に立脚したHfO2基薄膜の強誘電相の安定化メカニズムの解明と強誘電性の向上 | 東北大学 金属材料研究所 准教授 木口 賢紀 |
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1~2トランス次元系の設計・創出と電子物性 | 名古屋大学 大学院理学研究科 准教授 北浦 良 |
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糖尿病予防に向けた無線式糖度計測レンズの開発 | 早稲田大学 大学院情報生産システム研究科 教授 三宅 丈雄 |
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超音波と液晶を用いたフィルム型多機能レンズ | 同志社大学 理工学部 教授 小山 大介 |
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細胞内微小金属粒子形成による放射線治療の効率化 | 北海道大学 大学院医学研究院 准教授 小野寺 康仁 |
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人工知能による人間支援デバイスを用いた次世代型口腔がん検診システム構築のための基盤研究 | 山形大学 医学部 講師 石川 恵生 |
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高速画像センシングによりヒトの運動能力を引き出すマン・マシンシステムの研究 | 名古屋大学 大学院工学研究科 准教授 青山 忠義 |
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◆基本テーマ1:52名
研究テーマ | 代表研究者 | 研究概要 |
新物質探索によるスキルミオン物質空間の拡張 | 北海道大学 大学院理学研究院 准教授 吉田 紘行 |
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ノンコリニア反強磁性の電流誘起高速ダイナミクスの直接観測と新機能スピントロニクスデバイスの創製 | 東北大学 材料科学高等研究所 特任助教 竹内 祐太朗 |
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少数の受信信号データに基づく複数ネットワークによる抽出特徴量の最大化と人工データセットの生成 | 宇都宮大学 工学部 助教 小島 駿 |
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メゾスケールトポロジカル発光マテリアルの開発 | 千葉大学 大学院工学研究院 教授 矢貝 史樹 |
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有機合成に頼らない有機EL材料開発:アントラセン発光体分子のナノ空間閉じ込めによる発光色変調 | 東京大学 大学院工学系研究科 助教 岸本 史直 |
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光によって低侵襲的な脱着を可能とする矯正歯科用接着剤の開発に関する研究 | 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 准教授 田村 篤志 |
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CO2を化成品原料へ再資源化するための革新的な微生物電気合成システムの開発 | 金沢大学 新学術創成研究機構 教授 仁宮 一章 |
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大面積フィルム処理のための大気圧長尺マイクロ波プラズマにおける酸素ラジカル空間分布計測 | 名古屋大学 大学院工学研究科 助教 鈴木 陽香 |
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SrTiO3系新規光触媒電極の作製とプラズモニック増強による太陽光水分解性能の向上 | 豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 准教授 河村 剛 |
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太陽光発電パネル用の静電砂塵クリーニングシステムにおける摩擦現象が粒子除去性能に及ぼす影響 | 京都大学 大学院工学研究科 助教 安達 眞聡 |
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光ポンピング法によるプラズマ励起粒子時空間分布の3次元可視化 | 京都大学 大学院工学研究科 助教 占部 継一郎 |
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次世代バイオマス構造体:100%セルロースナノファイバー成形体の機械要素用切削加工法に関する研究 | 京都工芸繊維大学 機械工学系 助教 大久保 光 |
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電界による局所カイラル磁気構造誘起を利用した磁壁伝送に関する研究 | 大阪大学 産業科学研究所 准教授 小山 知弘 |
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傍熱型ホローカソードを用いたプラズマウィンドウの実用化 | 広島大学 工学部 助教 山﨑 広太郎 |
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Tailor-made color filter -色覚異常の多様性を考慮するデジタルカラーフィルタ | 香川大学 創造工学部 准教授 佐藤 敬子 |
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冷却速度を変えるだけで超伝導体にも絶縁体にもなる物質―何が超伝導に必要なのか、実験からの機構解明 | 愛媛大学 大学院理工学研究科 教授 内藤 俊雄 |
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錯体分子集積による極性配位高分子合成と機能開拓 | 九州大学 大学院理学研究院 准教授 大谷 亮 |
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非太陽周回小天体ミッションにおける天体暦エラーの影響の定量化と軽減 | 九州大学 大学院工学研究院 助教 陳 泓儒 |
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外場応答性金属錯体を用いた多機能性電子材料の創出 | 熊本大学 大学院先導機構 准教授 関根 良博 |
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SEUを利用した高位置分解能型半導体検出器の実証試験とシミュレーション | 総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科 講師 津野 総司 |
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フォトクロミックエレクトロニクスを利用した新しいエステルフリー型分解性高分子材料の分解制御 | 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授 網代 広治 |
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医薬品製造用3Dプリンターに関する萌芽研究 | 名古屋市立大学 大学院薬学研究科 准教授 田上 辰秋 |
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内包フラーレンの精密秩序集積による超原子物質科学の開拓 | 大阪市立大学 大学院工学研究科 准教授 渋田 昌弘 |
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ナノスケール分子磁石の縮重電子軌道を利用した新しいマルチフェロイクスの開拓 | 大阪府立大学 大学院理学系研究科 教授 細越 裕子 |
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昆虫の眼を超える偏光と位相を検出する2Dセンサー | 埼玉医科大学 保健医療学部 教授 若山 俊隆 |
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光圧増幅ナノ構造体を用いたナノ物質マニピュレーション法の開発 | 神奈川大学 理学部 准教授 東海林 竜也 |
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カイラリティーを特定した2つの単層カーボンナノチューブ間の熱伝導の解明 | 東京理科大学 理学部第一部 ポストドクトラル研究員 入田 賢 |
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表面プラズモン共鳴型光ファイバーセンサーによる地熱スケールの計測 | 明治大学 理工学部 助教 岡崎 琢也 |
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光エネルギーによる新たな無痛性不整脈治療の開発 | 北海道大学 北海道大学病院 助教 渡邉 昌也 |
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培養皿の中で運動を再現する-培養骨格筋への電気刺激システムの開発を通じた運動応答遺伝子の解析 | 東北大学 加齢医学研究所 助教 久保 純 |
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末梢伝搬メカニズムの解明に基づく軟骨伝導デバイス群の開発 | 千葉大学 フロンティア医工学センター 教授 中川 誠司 |
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てんかん入院診療における医療者を支援するためのてんかん発作予測・アラームシステムの開発 | 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 助教 宮島 美穂 |
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脳への微弱な電気刺激がリハビリテーションを促進する分子細胞機序の解明 | お茶の水女子大学 基幹研究院 助教 毛内 拡 |
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神経情報の操作計測のためのフレキシブルマイクロLEDシートの開発 | 豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 准教授 関口 寛人 |
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神経サーキット特異的光操作による精神疾患への新たなアプローチ | 福島県立医科大学 医学部 助教 中園 智晶 |
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収束超音波のニューロモデュレーション効果の作用機序の解明とこれを用いた神経ネットワーク活動の制御 | 杏林大学 医学部 講師 三嶋 竜弥 |
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原因不明の心筋症におけるラマン分光顕微鏡による自動診断法の確立 | 慶應義塾大学 医学部 専任講師 山川 裕之 |
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行動・ドーパミン・神経活動の同時計測による注意欠陥多動性障害の予測アルゴリズムの創出 | 金沢医科大学 医学部 助教 古山 貴文 |
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中枢および自律神経系情報に基づく複合型ニューロフィードバックによる注意機能訓練系の開発 | 立命館大学 理工学部 助教 櫻田 武 |
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マタギの知と技術の継承に関する社会学的研究 | 東北大学 大学院教育学研究科 准教授 鷲谷 洋輔 |
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「心の目」の欠如:国内における新奇事例「アファンタジア(aphantasia)」の提唱 | 福島大学 人間発達文化学類 准教授 髙橋 純一 |
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青少年の非認知能力の向上に有効な体育授業時の教師行動の特徴 | 群馬大学 共同教育学部 講師 島 孟留 |
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高性能インターネット望遠鏡の制作と高校生を対象とした新しい遠隔授業の開発 | 東京学芸大学 教育学部 教授 土橋 一仁 |
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本物体験を提供するツアーガイドのトレーニング構築〜持続的な観光におけるガイドの質の向上に向けて | 金沢大学 人間社会研究域 准教授 山田 菜緒子 |
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ビジョン介入を用いた英語学習に対する動機づけ向上に関する量的・質的検証 | 信州大学 教育学部 助教 青山 拓実 |
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自律型モビリティと共生する社会におけるヒトの移動・回避行動特性の解明 | 豊橋技術科学大学 大学院工学研究科 助教 田村 秀希 |
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医看工芸連携を促進する共創型知的財産教育とその手法についての実証的研究 | 大阪大学 知的基盤総合センター 特任助教 𠮷田 悦子 |
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評価表現分析で読み解く医学論文査読者の嗜好と思考:査読自動化へ向けた基盤研究 | 福島県立医科大学 附属病院 特任准教授 大前 憲史 |
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プロジェクションマッピングを用いた3次元コンテンツ提示による幼児教育のための能動的学習支援システム | 千葉工業大学 先進工学部 准教授 藤井 浩光 |
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立体視180度動画を用いたVR建設現場教材の開発と脳波・脈波モニタリングによる学修効果の評価 | 国士舘大学 理工学部 専任講師 位田 達哉 |
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AI技術援用による科学的事実に基づいたエネルギー政策の構築 | 明治大学 法学部 専任教授 勝田 忠広 |
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身体と社会:乳幼児の運動協調が社会関係の形成に及ぼす効果 | 立教大学 現代心理学部 教授 大石 幸二 |
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